旅のもうひとつの目的は、この瞬間にありました。
横浜赤レンガパークで行われた
「10,000 SAMBA! 」というイベント。
今年2008年はブラジル移民100周年にあたる年です。
そんな節目に、宮沢和史さんが中心となって
こんな情熱的な、フリーライブが行われたんです。
出演は、3年ぶりのライブを行ったTHE BOOM。
そしてブラジル音楽界の巨匠、ジルベルト・ジル。
さらに宮沢さん率いるGANGA ZUMBA。
MCでは日本語、英語、ポルトガル語が混じり、
国籍も音楽のバックグラウンドも様々なミュージシャンが
くりひろげるのは、音の宝石箱。
ジルベルト・ジルの歌う「No Woman No Cry」
大歓声と拍手が後ろから、左右から波のように押し寄せてきました。
BOOMの「神様の宝石で出来た島」
海からの風がなでるように、吹いていきました。
そして、
GANGA ZUMBAの「足跡のない道」。
これは宮沢さんが移民の母と呼ばれた
中川トミさんと出会うことで書いたナンバーだそうです。
中川トミさんは、1908年に神戸港を出港した
笠戸丸に乗って移住された方で、
笠戸丸最後の生存者でしたが、おととし
ちょうど100歳でお亡くなりになっています。
赤レンガパークからもすぐ近くの
JICA横浜では
「日伯移民100周年記念企画展 宮沢和史とブラジル」が
行われていてそこには宮沢さんと中川トミさんの写真も展示されていました。
「100周年」とか「移住者のみなさん」というテーマではなく
「一人の女性」との出逢いを通してメッセージを
伝える歌を作った、宮沢和史さん。
日本語とポルトガル語でのMCのあと
ひときわ丁寧に歌い上げていたように思えた
「足跡のない道」は、
ライブが終わっても、新幹線にのっても、
ずっとこだましているようでした。
アンコールもスペシャルで、なんと全員で「島唄」を。
音が重なるたび、宮沢さんとジルの歌声が重なるたび、
心を大きくゆさぶられました。
1万人が集まってほしい、という思いでつけられたという
「10,000 SAMBA!」
実際は倍の20,000 SAMBA! なイベントになりました。
夢だったんじゃないかな。
夢だったかもしれない。
魔法みたいな時間っていうのが、あるんですね。