空がグラデーションを奏でる夏至の日の夕方、
バスに揺られて向かった先は青葉区錦ケ丘の仙台市天文台です。
北海道は札幌在住の4ピースバンド、
sleepy.ab(スリーピー)のアコースティックツアーの初日が仙台で行われました。
彼らのメジャーデビュー『Paratroop』から『メロウ』が
Date fmのMega Playに選ばれていたのでご存知の方も多いことでしょう。
sleepy.abのライブ、実はアコースティックの時は
sleepy.acという表記になります。読み方は変わらず、スリーピーです。
仙台市天文台のプラネタリウムでライブが行われるのは初めてだそうです。
もともとsleepy.abの音楽は映像を喚起させるところが
多分にあると思うのですが、
目の前に広がる星空を観ながらだと、よりくっきりストーリーが刻まれるようでした。
ステージのフォーメーションは、向かって左にベース田中さん、
中央奥にドラム津波さん、右端にボーカル・ギターの成山さん。
そしてステージのほぼ中央にはギターの山内さんがいて、
回転式のテーブルの上に置かれた様々な楽器を駆使して
彼らの音楽を作っていきます。
マトリョーシカ形のテルミン・マトリョーミンや、カリンバ、鉄琴の澄んだ音色。
曲によってプラネタリウムのドームに写される星空も表情を変えます。
“メロウ”の黄昏スカイ。
“さかなになって”の深いブルー。
“まっくら森の歌”では森のシルエットが浮かびあがって。
“メリーゴーランド”では星座が頭の上をくるりと巡っていきます。
ライブでも披露してくれた新曲「君と背景」は
sleepy.abとして初のシングルです。
すでにバンドとしては10年以上のキャリアですが、
ポップな面が開いた、前向きな期待感がにじむ曲。
ちょうど北海道の春の手前、雪どけシーズンに作ったとか。いい曲です。
やさしいファルセットボイスでプラネタリウム全体を包み込み、
時々ドームの空を見上げながらギターを弾いているように見えた成山さん。
“ありがとうございました。おやすみなさい”で幕を閉じたライブ。
外に出たらとっぷり夜になっていて、月と星が見えていました。
月に照らされた道を歩きながら、なぜか、透明な北海道の朝を思い浮かべた私です。