MORE THAN EVER
新年度がスタートしました。
4月1日の新聞は、いつもラジオテレビ欄含め
わくわくした気持で読みますが、
今年の4月1日、毎日新聞の一面には
『温かい食事 まだ三割』という文字が。
東日本大震災の発生からちょうど3週間を迎えた
4月1日(金)時点で、
およそ17万人の方が避難生活を送っています。
うち、およそ8000人の方を対象に毎日新聞が行った
避難生活におけるアンケートで明らかになったのが
『温かい食事 まだ三割』という実態です。
3週間たっても支援が十分には行き届いていない実状が
浮かんでいます。
先週番組で電話をつないだ避難所のひとつ、
多賀城市文化センターでも、
「食事の量は足りてきたが、質ということで言うと、なかなか
上げることができない」と副館長さんがおっしゃっていました。
避難している方の倍にのぼる1000名を超える方々が
食事時間には集まっておられるそうです。
それだけ、買い物をしたりといったことがままならない状況です。
仙台ではお店が開いて、
列もほとんどなく入れるお店も増えてきました。
しかし、ほんの数キロ先で起こっていることがわたしたちの
気持を苦しめています。
先週のことになりますが、
国道45号線から、産業道路、ゆりあげの方までラジオカーを
走らせました。
多賀城市ではガソリンスタンドの洗車機が浮きあがり斜めになっていたり
産業道路はすごい砂埃で先週の時点では信号もついておらず、
仙台港の商業施設付近では
津波のすごさと波の方向が分かる形でフェンスがなぎ倒されていました。
おびただしい数の車が積み重ねられ、一方でまだ撤去されていない
車もそこらじゅうにあり、車のボンネットの上に建物の壁がざっくりきりとられた
まま乗っていたり、筆舌に尽くし難い景色。
畑もめちゃくちゃ、がれきのトンネルのようになった場所があったり、
通常海まで見通せない場所から海が見えて
かすかな波の音と、鳥の鳴き声意外聞こえなくて、
その異様な静寂に全身ふるえてしまいました。
若林区は57%が津波によって浸水したという記事が出ていましたが、
その景色を、テレビのフレームではなく360度の景色で体感してしまいました。
これから、津波被害のあった場所と津波被害を免れた場所で
復興までの時間の開きが生まれるでしょう。それは、想像するより
はるかに大きいかもしれません。
先週のオンエアの中で、いただいたメールでいろいろ気づいたことが
あります。
まずは、『この状況がどんどん忘れ去られているのではないか』という
恐怖を感じている人が多いこと。これだけ支援の輪が広がっていることが
伝えられるなかでも、そう感じてしまうほどの現実が目の前には
広がっています。わたしも地元のラジオで、そして機会をつくって
県外のラジオでも現状を伝えていきたいと思います。
そして県内の私たちが、数キロ先で起こっていることにもっと
心をむけていきたいと思います。
一方で、命がけの支援に対して
『何か、自分たちの感謝を伝えたい』と思っている方が多いことも事実です。
リスナーさんからはいろいろなアイディアをいただいています。
何かアクションを起こすことができないか、スタッフ共々
真剣に考えているところです。
さらには『前向きに頑張ろう』ということを言い続けてほしい、という
リスナーさんからのメッセージがありました。
ラジオネームを見て嬉しくなったのは束の間、
その方はお母さんをなくされ、大変苦しい思いをされている中で、
いつものラジオネームでメールを送ってきてくださいました。
『時間だけが今の気持を癒すものかもしれないけれど、
私が前向きになれるまでパーソナリティーのふたりには
言い続けてほしい』と。
約束します。必ず、いい続けます。
これまでJ-SIDE STATIONは
「必要なお節介」についてみなさんといろいろ話してきました。
声をかける。
まずは相手のことを思って声をかけてみる。
断られても、行動がまず大切。
必要なお節介はいろいろあるはずです、今だからこそ。
今週末、SISTER JETが
勾当台公園野外音楽堂でライブをしてくれました。
彼らの言葉を借りるなら「いてもたってもいられない」
これこそが、必要なお節介だと思います。
普段はライブ大好き人間の私でさえ、
考え事であたまがいっぱいになっていて行こうかためらう部分があったけれど
思いにふれて、とても体があたたまりました。
そしていつもライブ会場で顔をあわせるみなさんが
ちゃんとそこにいてくれることが奇跡だと思ったら涙が止まらなくなりました。
この大震災を乗り越えたら私はきっと好きなものが増えていると思います。
いままで好きだったものはもっと好きになっていると思います。
かつてないくらい、仲間を友達を好きになっていると思います。
かつてないくらい、ラジオを好きになっていると思います。
かつてないくらい、音楽を好きになっていると思います。
かつてないくらい、東北を、大好きになっていると思います。
また、新しい一週間がはじまります。
声をかけあって、がんばっていきましょうね。
体に、気をつけて!