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一歩ずつ

木曜日の余震は建物だけでなく、
復興へ歩みだした気持ちにも大きな打撃でした。

そのとき私は手紙とともに贈り物をしてくれた
友達にお礼の電話をしていて、
ほぼ悲鳴とともに電話を切った格好になりました。

部屋の中はふたたび物が散乱し、
夜中に友人が避難、
仙台駅に取り残された知人をピックアップして
送り届けようとするとガソリンスタンドには
またもや長蛇の列ができていた深夜2時。
停電、断水、交通機関のストップといったニュースが駆け抜けていました。

少しずつ復興への一歩を歩みはじめた街が
震災直後の姿に戻ったようで愕然として、
金曜日は一日何もする気が起きなかったのが正直なところです。

土曜日に多賀城、塩釜方面へでかけ、
1ヶ月間何も手助けすることができなかった祖母の家を
やっと訪ねることができました。
その背中はますます小さくなったように見え、
それでも日々の感謝を口にする姿に
働き盛り世代がこんなことで負けそうになってどうする、と
ふたたび気合を入れ直しました。

繰り返される余震は復興の厄介者ですが、
決してすべてが逆戻りしてしまったわけではありませんよね。
本震よりも揺れが激しかったといわれる場所もあります。
せっかく片付けたオフィスがぐちゃぐちゃになったと嘆く声も聞きました。
譲りうけた家電が壊れた方も。
それでも、3月11日以降、揺れても落ちない工夫をしていたからこそ
無事に済んだ場所もあったに違いありません。
そして、片付けたくても家ごと流されてしまった方の心を思えば、です。
余震に十分気をつけて復興への歩みをとめずに、一歩一歩
進んでいきたいですね。

最近、ますます街なかで見かけるようになった
「がんばろう」の言葉。

『がんばろう仙台』
『がんばっぺ宮城』
『たちあがれ東北』
『負けるな多賀城』
『ガンバロー塩竃』
『わたしたちは負けない』
『笑顔はパワーだ』
『力をあわせ頑張りましょう』
『がんばっぺし東北』

見かけると
声に出して読んでいる自分がいます。
きっと言霊は、ある。そう信じています。

今日はZepp仙台で、沖縄で行われた支援チャリティーライブ
”What a Wonderful World"の配信ライブを見てきました。

Zeppに音楽が戻ってきたんです。
音楽が、あるべきところで鳴っている。
Zepp仙台に入ったその瞬間からエネルギーをもらいました。

東北から最も離れた沖縄の地から届けられた音楽とメッセージ。
これだけ短期間で、これだけの規模のチャリティーライブが
開かれたことに正直驚きました。

沖縄の言葉で歌われる祈り。
拍手でつながる沖縄と宮城。
沖縄はすでにみんな半袖姿でMCの人が促す注意は
『熱中症に気をつけてください』
はじめて聞く曲も多いなか、なぜかなつかしい気持になったり。
2時46分には黙祷。
スクリーンのハンドフルートにつられるお客さんたち。

サンボマスターの山口さんの絶叫。
EPOさんの声からこぼれてくるような祈り。
飛び入りでトークを届ける中村正人さん。

BEGINの栄昇さんが『少しずつお祝いすることを増やしていけるように』
とエールを送りながらのライブ。さらには
『お祝いというのは前祝もできるんです!復興をしたときの前祝に!』
といって進んでいくライブは元気の出るセットリストで。

そしてかりゆし58の前川真悟さんが言っていた言葉がとても
心に残っています。

『たくさんもらうと、ありがとうすいません、って俺も言っちゃうんだけど、
今日のライブでたくさんのものが東北に届くかもしれないけど、
それで東北のひとたちが”すいません”って気持になったら
すんごく寂しいとおもってよ、俺は。
東北のひとたちのおかげで沖縄は素敵な一日をすごせたよ、
ありがとうっていいたいよ』

飾らない、真心が伝わることば。

今回の大震災でわたしたちが背負ったものは重いですが、
同じ時代を生きている仲間がいるんだということに
気づかされました。

今日のライブには56組のミュージシャンが参加されたと聞きました。

番組にも応援ソングが届いたり、県内でフリーライブの動きも
あります。配信などの方法で義援金を募ったり、メッセージを
届けてくれているミュージシャンもいます。
迷いながら、時期が早いのではないかと葛藤したりしながら。
みなさん言うのは「これしかできない」「できることはこれだけ」。
けれども、
ミュージシャンにとっての曲は命です。

そんな命を届けてくれることに、感謝と尊敬を。

実際多くの方たちも、わたしも、音楽に励まされているし、
そしてこれから長い期間にわたって、
被災地以外の人にメッセージを伝える役割をも果たしてくださるはずです。
直接宮城ではなくてもツアー先で、日本を元気にするために
がんばってくれているひとたちのこともたくさんたくさん聞いています。
本当にありがとうございます。

そしてそんなミュージシャンに絶対恩返しをしたい!と
思う自分もいるし、
些細でもできることで街に恩返しをしたいと日々思いつづけています。

そして県外からの愛のこもった支援にも、いつか絶対恩返しをしたいです。

まずは、宮城のおいしいものを食べてもらいたいです。
お米、笹かま、ずんだ餅。
日本酒、海産物・・・・・近い将来、お届けしますよ!

そして、何かできることはないか、と言ってくださるみなさん、
ぜひ宮城が元気になってきたら、宮城の温泉や
おいしいものを楽しみに来て下さい。

PCなどでオンエアが聞けるようになっていて
”東北の温度が知りたい”と県外で聞いてくださっている方も多いようです。

ラジオで伝わるメッセージはすべてリアルなものです。
リスナーさんの思い。リスナーさんの声です。
どうぞ引き続き耳を傾けてください。
関心をもってくださるみなさんが持ってらっしゃる手段、
お友達に伝えるでもいいし、blogや会社の朝礼や、なんでもいいです。
あなたの思いを発信することで、どうか、東北を応援してください。

ぽきぽきと心が折られるような余震が続くなかで、
長い避難所生活を強いられている方や自宅避難している方は
我慢することばかりだと思います。でも、必要なものやこまっている
ことを周りに伝えることがとても大切だと思います。
それはわがままなどとは全く違いますし、きっとその被災者の声は
地震大国である日本にとっても経験値として受け継がれるべき
大切な声になるはずです。だから、あなたのためだけではないのです、
みんなのために、思いを伝えてください、とひかえめな東北の人には
あえて言いたいと思っています。
我慢しすぎないで、どうかご自分をたいせつにしてください、と声を大にしていいたいです。

先週のオンエアに寄せていただいたメッセージに
心温まりました。
山元町の国道6号で、お母さんとお子さんが大きな紙にメッセージを
掲げていたそうです。
『自衛隊のみなさん、お疲れ様です。ありがとう』

今週も声をかけあって、がんばっていきましょうね。
仙台の桜の開花予想日は13日です。
桜が春風と一緒に希望を運んできてくれるのも、もうすぐです。

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2011年4月10日 22:55に投稿されたエントリーのページです。

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