秋晴れの日曜日、塩竈フォトフェスティバルに出かけてきました。
JR仙石線の本塩釜駅で降りて周辺のギャラリーや写真やさんに寄り道しながら
塩竈神社近くの旧亀井邸を見て、そのあとJR東北本線の塩竈駅前の
ふれあいエスプ塩竈へ。歩くにはちょうど良い気温。
途中でお昼を食べたりしながら港町を歩きます。
『塩竈フォトフェスティバル』は2008年3月に、塩竈市出身の写真家・平間至さんを中心に
第一線で活躍する写真関係者を塩竈に招いてさまざまな切り口から写真に
親しむイベントとしてスタートしました。
第一回の反響は非常に大きく、2009年10月に第2回を開催。
県内ばかりでなく北海道から九州まで16日間でおよそ9000名を動員したそうです。
今年の震災後、企画は白紙状態に戻りましたが地元の皆さんや
過去の来場者の方々から開催を望む多くの声が寄せられ第3弾の開催が決定。
復興へと向かう塩竈から全国に「写真のまち」の魅力を発信しています。
先日、『塩竈フォトフェスティバル2011』のPRのため
写真家の平間至さんが番組にゲストで出演してくださいました。
平間さんといえば、タワーレコードの"NO MUSIC, NO LIFE"シリーズを手がける
写真家。震災後には塩竈でミュージシャン達と共にイベントも行ってきました。
そんな平間さんは、震災後、こんなことを思ったそうです。
『写真は人の心を写すもの。写真というものがはっきりとした』
それは津波で被害をうけた場所から見つかった
結婚式の記念写真や人々の笑顔の写真をみて思ったそうです。
平間さんほどのキャリアの方も、そんなふうに刻まれたことがあったのだ、と
思いました。
取材で避難所に行ったとき、まだ泥がついたままの写真が
ロビーに展示されているのを見て、居たたまれない気持ちになると同時に
一枚でも多くの写真が持ち主のもとに戻りますように、と祈るような気持でした。
あんなにつらいことがあった後で、思い出にさえ頼れないとしたら
本当に酷だと思ったからです。でもその後、
思い出の喪失は、多くの方々にのしかかることになりました。
ボランティアで写真の洗浄に関わった方々も多くいましたが、
今回のフォトフェスティバルでも写真洗浄の企画が開催されました。
ビルド・スペースでは『馬場龍一郎 "ひとにふれていたい2011”』が開催。
3月からこれまで塩竈などで撮影された写真が月ごとに展示されてました。
旧亀井邸は建物自体に趣があって。
中では『三好耕三 "SAKURA 櫻覧”』が開催。
モノクロの桜の力強さに感動。
そして、ふれあいエスプ塩竈では
『Click For Hope―1枚の写真がつなぐ希望"』のコンテストで選ばれた
50点の作品が展示されていました。
テーマは「希望」です。
50点の中には、青空に浮かぶ雲がちょうど日本列島の形になった一瞬を
写した写真があったり、小学校の卒業式で、卒業生が思い思いに飛ばした
カラフルな風船たちの写真もありました。
また震災から立ち上がる人の力や思いまでもきりとったような写真も多く、
心動かされっぱなしだったのです。
そして、風景や人物、動物の写真が多いなかで
お皿にのったお好み焼きの写真も印象に残りました。
そのお好み焼きは、シンプルで具がのっていないかわりに
マヨネーズでかかれた目と口があり、にっこり笑った顔になっていました。
キャプションを見ると写真を撮った方の言葉が。
『海沿いの病院で被災し、病院自体が食糧難になりました。
小麦粉と少しの野菜しかなくなったときに作ったお好み焼きです。
体力もなくなってきた患者さんへ、少しでも元気になってほしくて
スタッフで笑顔を書きました。それを食べた患者さんの笑顔が
忘れられません。』
このコンテストには続きがあって、
50点の中から見た人が「希望」を感じる写真を1枚選んで
投票できるようになっています。
さらにその1票が主催者により100円の義援金になって
寄付される仕組みです。
シャッターを押した人の思いが伝わってくる写真ばかりだったので
1枚を選ぶのは本当に迷いましたが、私は笑顔のお好み焼きの
写真に1票を投じてきました。
塩竈フォトフェスティバル2011、23日(日)まで開催されています。