去年の3月20日にZEPP SENDAIでライブを行うはずだった
ACIDMAN。1年後の同じ日にステージに音楽を届けにやってきてくれました。
去年、結成から15周年、そしてメジャーデビューから10周年を
迎えた彼らのツアー。今年2月には初のオールタイムベストアルバムも
リリースして、キャリアを詰め込んだステージになるだろうという期待の中のライブでした。
「生きていること 生かされていること 本気で伝えにきた」
そんなVo.&G.大木さんのMCには気迫がこもっていました。
映像やライティングにも定評があるACIDMANですが、
その芸術性も迫力も本当にすさまじいものがありました。
ライティングに関しては「光」ってこんなに自在に操れるものなのかと
思ってしまうほど。重なる、波打つ、空間を切り取る、分ける、形どる、
点滅する、織る、現れる、消える。あらゆる言葉を尽くしても、
表現を超えていく光のマジックが目の前で繰り広げられます。
2階から全体像を見るのも、
1階で光の中に身を置くのも、一部だけを感じるのも、
きっとそれぞれの見え方があるのだろうと思いました。
同じ日、同じ会場で、同じセットリストで、でも違う位置から
もう一度見たらまた感じ方に変化があるのかもしれません。
映像もまた、はっとさせられたり、刺激的だったり、新しい感覚に
もっていかれるようだったり。楽曲の世界観に寄り添う、
音と映像のリンクは圧巻でした。
MCの場所は少ないものの、大木さんの強い言葉と同じくらい印象を
残すのがドラムの一悟さんの言葉。ケニアとタンザニアに行ったときの
エピソードになごむ会場。楽しみにしている空気が伝わってきます。
その時訪れたキベラスラムを訪れ、子供たちとの交流があったとか。
世界最大のスラムとも言われるそんな貧しい場所でも去年震災の3日後には
日本のために祈りが捧げられたという話を聞いて、
震災後に物心両面で世界に助けられた私たちは世界と近くなったなぁと
改めて思いました。と同時に、世界の様々な場所に
思いを飛ばしてくれるのも、またACIDMANの音楽の魅力のひとつ。
“ 生きている意味や希望が見いだせなくてもいい
生きていることこそが答え”
このメッセージはACIDMANがはじまったときから一貫しています。
インストナンバーも、ACIDMANのアイデンティティーを余すところなく伝えてきます。
鍛え抜かれたドラムと強靭なベースが空気を丸ごとゆさぶって。
しなやかでスリリングな大木さんのギター。静けさも轟音も自在。
輝きと強さと。気をぬいたら振り落とされそうになるほどです。
今のACIDMANを凝縮していた、と思います。
たくさん印象的な曲はありましたが、曲名はここには書きません。
なぜならまだ仙台公演はツアーの折り返し。
4月に入ると、韓国、さいたまスーパーアリーナと台湾公演まで
続いていきます。