今週、『木の屋 石巻水産 美里町工場』におじゃましました。
鳴瀬川にかかる橋を渡ると、美しい田園風景の中に、
流線型の屋根が特徴的な建物が見えてきます。
”くじら”をモチーフに建てられたという工場。
まるで美術館のような外観です。
ショップスペースはいま準備中ですが、
オフィス入り口に販売スペースがあり、
缶詰を購入することができます。
ちょうど石巻からいらしたご夫婦が
お中元用にと、セレクトしているところでした。
工場見学できるスペースはちょうどくじらのおなかあたり。
お話を伺った松友さんはふだん
品質管理や商品開発のお仕事をされていて、
今日も白衣姿で出迎えてくださいました。
そして広報のご担当でもあり、
子どもたちが見学にくるときにはくじらの被り物をして案内するという
優しいお兄さんでもありました。
木の屋石巻水産は、石巻で、「鯨の大和煮」からスタートをして
三陸沖の旬の海の幸を缶詰に加工してきた会社です。
海の見える石巻港に会社と製造工場がありましたが
津波により工場は流され、本社も瓦礫が詰まり、使える状態ではなくなって
しまいました。
石巻港のシンボルマークでもあった
「巨大鯨大和煮缶詰」は、20t以上の重油が入っていたにもかかわらず、
元にあった場所から300mほど流された場所に横倒しになっていて
わたしたちも震災の後、何度もその姿を目にしていました。
今年3月に完成した美里町工場。
看板商品の缶詰はここで一日に1万5千個作られています。
新鮮な旬の魚を缶詰にするので、
詰める作業は手作業で行われています。
機械だとピチピチの魚をつぶしてしまうことになるので、
どうしても詰める作業は従業員の皆さんの
手作業でなければならないのだそうです。
おじゃました日はちょうど、
鮭の中骨の缶詰を作っているところでしたが、
夕方からは今朝水揚げされたいわしのラインに切り替わるとか。
いわしは夏のシーズンに2度水揚げピークがあるそうですが、
今年のいわしは脂がのっています!
てきぱきした従業員のみなさんの手元と
工場のラインの無駄のない動きをみているだけでも飽きないです。
見学は、特に決まったコースはまだなく、
松友さんが人数や要望にあわせて対応しています。
少人数のご家族を工場内まで案内したり、
小学生の団体のみなさんには卒業時に読む手紙などを入れた
思い出缶詰を作る体験をしてもらったり(ステキですね!)
県外から震災時のことを知りたいという方には
映像を使うなど、工夫されています。
工場見学したい!という方はまずお問い合わせしてみてください。
見学コースの奥には広いホールがあって、
机やテーブルが置かれています。
見学者の希望によって映像をつかっての案内などもしているそうですが、
そのホ ールをぐるっと取り囲んでいるのは
震災後、ボランティアのみなさんが書いた
木の屋さんへの応援メッセージです。
松友さんがおっしゃっていました。
”木の屋にとって、これは宝なんです”と。
ボランティアにかけつけてくれた方々にも
この新しい工場を見てもらいたいと思いました。
見学コースでは、見学後に、
学校で魚ブームが巻き起こったという
地元の小学生のみなさんが書いたカラフルな魚たちの絵が出迎えてくれます!