長い映画のタイトルは、チケットを買うとき
略して言うこともありますが…
これはどう略してもおかしいと思い、
『小野寺の弟 小野寺の姉』と言おうとして
二度目の”おので”、で噛んでしまいました。
親友の旧姓でもあるのに!
小野寺姓の多い宮城生まれだというのに!
…反省しながらチケットをにぎりしめて映画館に入ると
なんとなくですが、年齢層やファッションや…
片桐はいりさんと向井理さんのファンが半々のような…
そんな気がしました。
数々のヒット作の脚本家として名を馳せる
西田征史さんが、自身の原作小説を映画化した
『小野寺の弟・小野寺の姉』。
キャスティングの妙もあって話題になっていますが、
スクリーンで愛すべき素敵なきょうだいに会った気分です。
一見、ギャップのあるように見える姉と弟ですが
映画が進めば進むほど、二人がきょうだいにしか見えなくなりました。
何気ない日常の小競り合い。さりげない思いやり。
二人きょうだいならではの距離感。ひとつひとつが
じんわり心をあっためてくれるようなストーリー。
そして、両親亡き後も二人が暮らす日本家屋がとても味のある佇まいなのです。
決して立派ではないけれど、道具や家具は使いやすく手入れされていて
狭い日本家屋の中に調和していて。
私が子どもの頃は我が家も、友達の家も親戚の家もこんな家ばかりだったし、
よく見ればこんなものあった!という小物もちらほら。
くぐるとき、時々髪の毛挟んじゃう数珠状に玉が連なっている暖簾とか!
昔の結婚式の引き出物でいただいたような食器とか。
こんなふうに物をたいせつにする生き方をしていたら
こんなきょうだいになるのかなぁなんて、ふと思ったりするほど。
家のシーンがでてくるたびに、家具・小物にひきこまれ、
この空間描写なくしては成り立たない映画とさえ思いました。
いいなぁ、こういう板の間。
向井理さん演じる弟は調香師で『ありがとうの香り』の入浴剤をつくることを
会社から命じられているのですが、果たして。
ちなみに、調香室でのシーンでは既存の入浴剤として
さりげな〜くいくつかの商品が映しだされるの
ですが、『逆にひのきの香り』というのがあり、とても気になってしまいました。
逆にって!!
香りのネーミング、今いろいろありますよね。
イメージネーミングも多いですし。
2年くらい前『アイラブユーの香り』の部屋用芳香剤を買ってみた、という話をしたら
ものすごくさみしい人扱いをされました(笑)
気になっただけなのです!!
観終わって誰かと、ほうじ茶のみたくなるような一本。
小野寺きょうだいの幸せを願いながら。