ARK NOVAとはラテン語で新しい方舟、という意味だそうです。
上杉の勝山館の隣に、ARK NOVA(アーク・ノヴァ)と名付けられた
可動式のコンサートホールがお目見えして開かれている
ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ。
このホール、実に高さ18メートル、幅30メートル、長さ36メートル
あるそうで、500人を収容できる大きさ。
この前衛的な建物の中に入ると、
板張りだからか意外にも木の匂いがしました。
カタツムリの殻の中にでも入ったような、印象的な天井部。
スイスの国際音楽祭であるルツェルン・フェスティバルの働きかけで
音楽を通して震災からの復興を支援しようと、去年の松島に続いて
仙台で開催されているアークノヴァ。
去年の松島公演における写真の数々が素敵で、
見にいきたいと思いながら叶わず、今年仙台の街なかでの開催を
楽しみにしていました。
今日は喜多流能楽師・狩野了一氏による能公演。
この中に能舞台を模したスペースが作られていました。
650年の歴史を持つ古典演劇の『能』ですが、
それほどまでに古い歴史をもつ演劇は他国にもないのだそうです。
上演可能な曲が今でも200曲ほどのこされていて、
かつ毎年のように新作能がつくられているのだとか。
ちなみに今日上演された『鶴』という演目は60年ほど前につくられ、
これも”新作”に属するということでした。
ストーリーそのものの面白さではなく、
主人公であるシテを中心にした舞台の雰囲気そのものを味わう。
頭で分かる、ということでなく、雰囲気を味わう。
そのためのしかけを堪能する。
お囃子がはじまるとすっと背筋が伸びる気がするのは
日本にうまれたDNAなのかしら。能面をつけると見える範囲は
ごく限られ、親指と人差し指をくっつけて細長い◯を作り
そのまま目一杯腕をのばし、そこから◯を見てみた時に見える範囲ほど
なのだそう。
どこで拍手をするべきなのかもわからぬ初心者ですが
所作の美しさにみとれて40分。
足のはこび、上体のスムーズな移動。ぶれなさ。肩の位置。
時々は、美しいものを見る時間が必要。
暮れかけてきた空に浮かびあがる方舟の前で、深呼吸しました。