さらさらとした気持ちのいい雨で2月が過ぎて、
春、3月を迎えました。
今年は暖冬で助かったね、
スタッドレスいらなかったくらいだね、
そんな会話が聞こえてきます。
この冬ずっとそばにあった一冊は
幼なじみがおすすめしてくれたもの。
高木正勝さんの「こといづ」というエッセイです。
かつてZepp仙台があった頃、
高木さんによる映像とピアノのライブを見たことがあります。
音楽家であり、映像作家である高木さんは
「おおかみこどもの雨と雪」や
「未来のミライ」などの映画音楽も手掛けられました。
エッセイでは、
街でくらしていた高木さんが山間の村で暮らし始め、
その目に映る、耳に届く景色の豊かさを
高木さんの感性と、自在な表現が伝えてくれます。
たとえば、擬態語のバリエーションもそう。
春の「わいわいした」畑。
「ぽんぽんぽんと」打ち上げ花火のようにふくらむ、こぶしの花。
生い茂った草を「ぎゃいぎゃいと」手鎌で刈る。
口数が少ないけれど情の深い隣人の「ひょこひょこした」後ろ姿。
目に映る景色が、自動的に音符に変換されるんじゃないかなぁ...
特に両手で弾いても追いつかないほどの春の息吹の表現には
はっとさせられます。
肩の力を抜いているんだけど、そこにあるものを
ちゃんと感じ取りながら暮らすって豊かですね。
わたしも、春に向かって、むくむくっと目を覚ます命や、
ぎゅっと力をためている花々のつぼみをよ〜く感じながら、
春を迎えられたらいいなと思います。
【ミモザ】
春をつれてくる、ハッピーイエロー。