可憐な、加賀ゆびぬき。
もともと加賀友禅のお針子さんたちが
余った絹糸をたいせつにとっておいて
自分たちの裁縫道具である指ぬきを作ったのが
はじまりだそうです。
一説にはお正月休みにかがったものだとも。
着物を着るひと・縫うひとが減って一時期
伝統が途絶えかけましたが、
2000年代に入って、金沢の加賀手まり専門店の娘さん、
大西由紀子さんが本を出したり、メディアで紹介するなどして
全国に作り手が広がりました。
金沢にいた時に大西さんの作品を見て
その色合わせ、細やかな美しさにときめきましたが、
自分で作れるなんて・・・仙台でも40人ほどの方
(作家さん・趣味で作っている方・習っている方など)が出品しての
展示会も開かれているのだそうです。
指ぬきとしての実用はもちろん、アクセサリーとして
さまざまな作品を手がけられる作家さんもいらっしゃいます。
コモノヤさんの屋号で教えたり、イベントにも出品されている
佐藤満美子さんに教えていただきながら、私も
加賀ゆびぬきのミニチュア作りを体験しました。
あれ?針を持つ時、
指ぬきってどの指にはめるんでしたっけ?という
情けないレベルの私ですが、
優しく教えていただきながら、ひと針ひと針進めるごとに
どんどん表情を変えていく「矢鱈縞(やたらじま)」に
魅了されました。
先生!わたし逆に縫いました?
あれ??糸がからまりました?
あれれ?これなんか変ですよね?
そんなことを繰り返しながらも時間があっという間!
取材時には伝承の柄からオリジナル柄まで
いろいろ見せていただきました。
作品のインスピレーションは、
お散歩しているときの景色のグラデーションからも
浮かんでくるのだそうです。
同じものを見ても、作家さんの目を通すと豊かな世界が
ひろがってそれが魔法のような作品になっていく・・・
わたしはわたしで、出会う方が先生になってくださる
自分の仕事もありがたい、豊かな世界だなと感じています。
【絹糸いっぱいのお道具箱】