家具や生活用品に関して
デザイン展覧会を数々手がけ、
「美しい椅子」の著者でもある
島崎信さんの講演会を聞きに。
武蔵野美術大学工芸工業デザイン科の名誉教授であり、
北欧建築デザイン協会理事、
日本フィンランドデザイン協会の理事長など
北欧デザインと日本のひとびとの架け橋となって
きた方でもあるんですね。
すぐれたデザインとは即ち長く暮らしに
溶け込んでいるデザインという実例を示しつつ、
そのデザインが生まれるまでに
どれだけの検証が積み上げられたかもよくわかりました。
少し前に「キッチン革命」というドラマで
戦後に公団のキッチンをつくるときの
採寸(戸棚の中に何枚皿を入れるか
それを取る時の動線などを細かく測る)の様子が
描かれていましたが、まさに
長く愛される家具や道具のはじまりはそこに。
豊かな暮らしとは
「愛着のあるものに囲まれてくらすこと」と
おっしゃる島崎先生。
先生自身、お気に入りのコートを
7回裏地を直して着ているそうです。
平安時代から言われる付喪神でなくとも、
物にも心が宿る、と。
茶碗ひとつでも使えなくなるまで
ちゃんと使ってもらえると思っていて、
縁を結んだものを大切にすることは
選んだ自分を尊重することにつながるという
言葉が印象に残りました。