宮城野萩の咲く北門。
東北大学のさくらホールで行われた
講演会にでかけてきました。
講師は棟方志功の初孫として生まれ、
生活の中でその制作風景に接しながら育ったという
石井頼子さん。
現在は富山の南砺市立福光美術館の
特別専門員として棟方関連資料の
アーカイブを進めているそうです。
今年は生誕120年で、富山・青森・東京と
巡回する大回顧展が行われていますが、
版画のみならず書や本の挿絵、
日用品のデザインまでも手がけたマルチアーティスト・
棟方志功をお孫さんの目線から見た多面的なエピソードも
聞くことができました。
版画を「板画」と書き、作を「柵」と書き、
仕事を「仕業」と書き、
芸術を「芸業(げいごう)」と言い換えたという
言葉に対するこだわりから始まった公演。私自身も
棟方志功の作品の中で、言葉が添えられた作品に
特に惹かれます。
言葉から生まれた作品、言葉がなかったら
生まれなかった作品。
極度の近視、そして57歳で左目を失明した
志功は、板のすれすれで掘る姿が知られています。
どうやって全体を頭に描いていたのだろうとしか
思えないけれど、お話しを聞いているうち、
全体が描けているから、迷いなくあのスピード感で
目の前を彫っているうちに出来上がって
いくんだなと思いました。
映像スタッフを入れた時のサービス精神、
でもドキュメンタリーなんて信じない、
カメラはそこで回っているんだ、という精神が
なければ孤高の作品など生まれるはずないなとも
思いました。
近くで作品の生々しさを感じたくなるお話。
誘ってくれた友に感謝する、いい時間でした。