記念すべき35周年コンサート、
千秋楽の地は遊佐未森さんのふるさと・仙台パトナホールでした。
天井の高いコンサートホールで私達を出迎えてくれたのは、
未森さんの音楽史を紡ぐインストゥルメンタルサウンド!
オープニング曲がバンドメンバーをステージに誘い、
美しいアンサンブルの中にふわりと舞い降りた未森さん。
拍手が一段と大きく鳴り響くなか、コンサートは「風が走る道」で幕を開けました。
最初のMCでは「帰ってきました、ふるさと仙台!」と笑顔の未森さん。
懐かしい曲も散りばめて、という言葉の通り、序盤に
2ndアルバム「空耳の丘」から3曲続けて届けてくれました。
コンサートの始まりはいつも、未森さんの歌声の透明感に改めてハッとさせられます。
MCでは作品の背景や制作当時の未森さんの思いに触れることができました。
まわりを見ても、曲が始まった瞬間にピクリと
心の中の"この曲嬉しい!"が見えるような動きをするひとの多いこと!
曲に記憶を重ねたり、懐かしい曲の中に新たな発見をしたりしながら、
それぞれが時間旅行を楽しんでいたと思います。
「地図をください」ではコーラスワークにも包まれて多幸感!
大口さんのピアノのイントロから心が震えた「春の雨」。
杜の都で育った未森さんが大切に歌う「僕の森」。
「街角」で縦笛を手にステップする未森さんは妖精で!
「仔ぐま座」では仙台での特別編、
未森さんを中心にメンバーの皆さんが一列になってのア・カペラを披露してくれました。
リリカルで優美な音に耳を澄まします。
後半は「きらきらになって来ました」とシルバーのドレスで登場した未森さん。
ピアノに移動して、東日本大震災後に作られたアルバム「淡雪」から「Snow Rose」を。
未森さん自身がSnow Roseの生命力に触れて書いたというこの曲に
またしても力をもらいました。
立ち上がるために必要な音楽に出会えたことには胸がいっぱいになるのですが、
「せせらぎ」も、そう。ずっと歌って欲しい曲です。
「潮騒」はたちのぼってくるような感動があります。
コンサートの終盤、デビュー曲「瞳水晶」からは総立ちで
スピード感のあるナンバーに
会場はどんどん熱を帯びていったのでした。
まさに、アニバーサリーならでは、35年を凝縮したセットリストに
自分の時も重ねて、
最後の最後まで未森さんと私たちの親密な時間は続きました。
深く音楽を追求しながら、新しい扉を開き続け、しなやかな変化を続けてきた未森さん。
この先、どんな曲を私たちの心に灯してくれるのかな。
温かな余韻のなか、これからの未森さんの音楽がますます楽しみです。